【日本年金機構の入力業者問題】
すでに業者名は明かされていますし、社長の謝罪会見もあったようですが、問題はいったい何だったのでしょうか?
クローズアップされている問題は、再委託禁止なのによりによって中国の業者に委託していたという事実。
日本年金機構によると、個人情報は外部に流出していないと言われてますが、今回は結果よりも入札を含めた経緯、要因にも大きな問題があるように思えます。
何より、問題が発覚したのは年金受給者個人からの問合せがきっかけです。
その問合せを年金機構側はまともにとりあわず、事を大きくしたのではなかったでしょうか。
ようするに年金機構の窓口はデータを信じていたということ?
本来、最終責任者たる年金機構がチェックするべきではあるが、一般的にそれをやると倍の経費がかかり、もちろんスケジュールも遅れてくる。
その工程を省くために、入札時にいろいろと縛りはあるのだろうが、ミスが発覚した場合にどういう手立てをすべきかということが抜け落ちている気がする。
業務においてミスがまったくないとは言い切れないわけで、その割合の多寡にかかわらず対応策は考えておくべきではなかろうか。
もっともその前に、ミスを減らす作業方法や工程を提示して業者の選定にもあたるべきだとも思う。
金額提示の入札は往々にして業者が無理をして入札する場合がある。
作業内容、スケジュール、もちろん金額、それらの一つでも崩れると「働き方改革」どころではなくなるのである。
といって、今回の「業者」の肩を持つわけではないが、入力という作業は今もって大半が「人間の手」で行われる。
OCRもあるが、識字率が100%じゃない中では最終的に人間の目でのチェックが必須。
ましてや大量のデータ入力ともなれば、その体制が組めるかどうかの問題もある。
一年中、そのようなデータ入力の仕事があれば安定雇用にもつながるが、だいたいは予算を削られ、しかも短納期である。
さらに再委託禁止であれば、そのスペースや機材も用意しなければならない。
500万件の入力を10月に落札して、2月には年金支給していたわけだから、4か月位の入力期間であろうか。
そうであれば1か月、125万件。
どういう作業工程で受注したのか詳細が知りたいものである。
そして中国の業者へ。
中国の業者にかかわらず作業工程を含む、作業手順書はあったのか?
最初から中国ありきだったのか、それとも業務が圧迫してきて途中で中国へも流したのか?
それは日本年金機構に相談していたのか、それとも独自の判断だったのか?
もしそれが同じ中国でも、第三者ではなく自社の系列だったらよかったのか?
いろんな課題を含んでいる今回の問題、最終ユーザーたる年金受給者はもちろん、いま年金を収めている国民にとってよりよい解決方法を望むものです。