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【オリンピックの身代金】 奥田英朗 著

評価:
奥田 英朗
角川グループパブリッシング
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(2008-11-28)

あの頃は、テレビもなければ、冷蔵庫も、洗濯機もなかった…
でも、毎日毎日が新しい驚きでいっぱいだった!



【あらすじ】
昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都・東京。この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」という脅迫状が当局に届けられた!しかし、この事件は国民に知らされることがなかった。警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ…。「昭和」が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的スケールと緻密な描写で描ききる、エンタテインメント巨編。


松本清張的な匂いのする昭和…
はっきり言って、なつかしいなぁという思いが全編にあった。
オレがまだ小学校に入る前の話である。もちろん思い出はすべてセピア、けっしてカラーではない。
青森の田舎にいたオレは、東京の出稼ぎから帰ってきた叔父の話を聞いて、東京はまるで外国だと思っていたものだ。

そんなことを思い出させてくれた本。

ようやく電気が通ったという秋田の村から出てきた東大生・島崎。
田舎と東京の差に不平等を感じてはいたが、とくに不満はなかった。
それが、出稼ぎで飯場にいた兄が死んだことから現実を直視し、その不合理性に憤りを持った。
そして事件は始まった…

淡々と事をすすめる島崎、島崎を助けようとする同郷の村田、振り回されながらも着々と輪をせばめる公安と警視庁。

まっすぐな島崎に、村田は言う。
おめはすぐにそう言うけど、東京がながっだら、日本人は意気消沈してしまうべ。今は多少不公平でも石を高く積み上げる時期なのとちがうか。横に積むのはもう少し先だ


去年の北京オリンピックの時も同じようなことがあったと思う。
時代が変化する時に必ず通る必要悪なのかもしれない。

東京オリンピックから45年。
今はまた東京との格差が大きくなってしまった。

高度成長よ、もう一度こい!、、、の、ポチッ


昭和の思い出はまたいずれ…

JUGEMテーマ:読書
18:27  Posted by juzji
読書 : comments(10) : trackbacks(12) : 

COMMENTS

posted by よっちゃん  at 2009/04/01 7:30 PM
じゅずじの旦那さんは、なるほど青森の田舎で出稼ぎの叔父さんから東京の話を聞いていた少年だったのですね。私はこの年はアメリカの北爆反対の学生運動にかなり突っ込んでいたのであまりオリンピックの記憶がないんです。昭和は遠くなりにけり。
posted by じゅずじ  at 2009/04/01 9:20 PM
■よっちゃん
自分は東京オリンピックの記憶は、たぶん後から刷り込まれたものだと思います。あの頃はまだテレビも無かったような…
でも、不幸だと感じたことはありませんでした。
周りがみんなそうでしたし(^^ゞ
東京の話しを聞くたびに、心踊った記憶だけはあります!
そんな記憶を引き戻してくれた本でした。
コメント、TBありがとうございます。
posted by 藍色  at 2009/04/02 1:44 AM
こんばんは。

地域的に主人公と重なっていたんですね。

39年の世の中の様子を知ることができて面白かったです。
posted by しんちゃん  at 2009/04/02 6:44 PM
こんばんは。
共産主義に馴染みがないからでしょうか、島崎の行動心理が理解できませんでした。それにヒロポン中毒も引っかかって・・・。
そういうわけでイマイチ乗り切れませんでした。評判はいいみたいですが、。
posted by じゅずじ  at 2009/04/02 9:08 PM
■藍色さん
まさに重なってました…
歴史自体は後から刷り込まれた気もしますが、東京にはただただ驚きと、あこがれがあったように思います。
ある意味、懐かしい本でした(^^ゞ
posted by じゅずじ  at 2009/04/02 9:14 PM
■しんちゃん
確かに、島崎の行動心理には無理があったように思えます。
はっきり言って、中途半端なのかなぁ。
でも、あの当時の格差は今以上でもあったことは事実です。
たぶん北京オリンピックと重ねたんではないでしょうか。
あの時代を知ってるものには、内容はともかく懐かしさにあふれてました。
posted by あらいぶ  at 2009/04/04 10:16 AM
さすが、じゅずじさん。
要点を上手くまとめますね。
久しぶりのトラックバックだったので、思わず
「あれ?トラックバックってどうするんだっけ?」(笑)
posted by じゅずじ  at 2009/04/04 10:28 AM
■ あらいぶさん
あの頃、いまもそうだけど、冬になるとみんな出稼ぎに行ってましたよね。子供心にも不条理を覚えたものでした…
トラバのやり方、忘れた?
活動してないですなぁ(笑
posted by じゃじゃまま  at 2009/05/12 2:51 PM
島崎とはまるで違う人種ですが、雰囲気のよく出た作品だと思いました。
私の父の職場に、昔はたくさんの出稼ぎの人いましたね。父は真夏でもヘルメットかぶって体にあせもできても愚痴一つこぼさず、そして仕事に誇りを持って定年まで現場一筋でやり遂げた人なので、普段みんなが忘れている労働者のことなど、よく描かれているなと思いました。
なので、島崎がテロリストに代わっていくところ、納得しました。
posted by じゅずじ  at 2009/05/13 7:28 AM
■じゃじゃままさん
発展途上の一過性だったんでしょうね。
それが特別なことじゃなく、東北ではみんな同じような環境だったから、不思議とも思わなかったけど。
「理不尽」というものを淡々と表現してて、納得できる本でした。
 
 
 


 

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